8歳以上の老犬は注意!クッシング症候群の症状と治療法

クッシング症候群とはどんな病気?

クッシング症候群とは、副腎皮質から分泌される副腎皮質ホルモン、コルチゾールが過剰に分泌されるために起こる病気です。この副腎皮質ホルモンは、炎症を抑える機能、炭水化物の代謝、たんぱく質の分解、免疫、血液機能などにも作用するホルモンです。

このコルチゾールが過剰に摂取するため、皮膚や筋肉に異常がみられたり、肝臓のグルコース生成が促進されることにより、糖尿病を引き起こしたりするのです。

クッシング症候群の主な症状とは?

クッシング症候群の主な症状

 

  • 水をたくさん飲む
  • おしっこの回数が増えた
  • 腹部膨満
  • 脱毛がひどい
  • 毛色が悪い
  • ハァハァと息切れをする
  • 皮膚が薄くなる、弾力がなくなる

腹部膨満については、中心性肥満とも呼ばれています。これは、腹腔内に脂肪が沈着し、膨張してくるのですが、逆に足は筋肉が落ちて、弱々しくなってくる状態を言います。

他に脱毛がひどくなり、毛色も悪くなります。

皮膚が薄く、乾燥しやすくなり、重症化すると、皮膚に石灰のようなものが沈着するようになります。これは、ホルモンバランスが崩れたことにより、体内のカルシウム分が析出してくるため起こる状態です。

ほかにも様々な症状がみられ、複合的に併発することもありますので注意が必要です。

特にクッシング症候群は、糖尿病や甲状腺機能低下症などを併発させ、さらに状態を悪化させることがあります。早めに獣医師へ相談するようにしましょう。

クッシング症候群にかかりやすい犬種はありますか?

自然に発症するクッシング症候群の好発犬種は、プードル、ダックスフンド、ビーグル、ボストンテリア、ボクサーです。

また、主に8歳以上の老犬に発症します。

クッシング症候群の原因って何?

このクッシング症候群は、副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されることで起こる病気です。副腎とは腎臓の上に小さく配置されている、内分泌器官です。これに脳下垂体が指令をだして、ホルモン分泌を促すのですが、脳下垂体に腫瘍ができ、ホルモン分泌の指令の統制がとれず、過剰にホルモンが分泌されるようになってしまうのです。

クッシング症候群は、この副腎皮質からの分泌が亢進されることから、「副腎皮質機能亢進症」とも呼ばれています。 

このクッシング症候群にはいくつかの種類があります。詳しくみてみましょう。

下垂体依存性副腎皮質機能亢進症
脳下垂体からの分泌が過剰になるため、起こります。犬の場合はほとんどが、こちらのパターンです。
副腎性副腎皮質機能亢進症
副腎皮質部自体が腫瘍化してしまうため、発症します。
医療用クッシング症候群
長期にわたるステロイド剤の投与によっても、似たような症状が出る場合があります。

クッシング症候群の治療法とはどのようなものでしょうか?

クッシング症候群の検査

まずは血液や尿検査を行い、「副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)」「副腎皮質ホルモン(コルチゾール)」の値を検査します。

これらの数値によって、原因の特定ができますが、これらのホルモンは、主にストレスホルモンといわれるため、空腹時やその時の状況で数値が変動する可能性もあります。一度だけの検査で判断せず、検査時の時間や条件をかえて、数回検査をしてみる必要があります。

腫瘍が原因の場合は、脳下垂体のMRIや腹部CTIでの画像診断が必要になります。

医療性クッシング症候群が考えられる場合は、服用している薬と一日の服用量、どのくらいの期間服用しているかということを確認したうえで受診します。 

クッシング症候群の治療

上記のような検査を踏まえ、主に薬物治療を行います。

腫瘍が見つかった場合は、手術が行われる場合もありますが、脳下垂体の手術は犬や猫には行っていないのが現状です。

また、腹部の腫瘍の場合で、良性であれば、摘出手術を行いますが、悪性腫瘍出会った場合は、転移していることも考えられるため、積極的な治療は行わないケースが多いです。

医療性クッシング症候群の場合は、原因となっている薬を減薬させていけば、その後は回復していきます。

家庭ではどのようなことに注意する必要がありますか?

クッシング症候群にかかった場合、家庭でできることをまとめてみました。

新鮮な水を用意しましょう。
水を良く飲むため、飲めないと脱水症状を起こしてしまいます。いつでも新鮮な水が飲めるようにしておきましょう。

良質なたんぱく質の食事を用意しましょう。
クッシング症候群になると腹部が膨張しますが、これは脂肪によるもので足の筋肉は衰えてきます。良質なたんぱく質をプラスし、低脂肪な食事にしていきます。
できるだけ炭水化物、添加物の入ったものは避けるようにしましょう。

獣医師との連絡
クッシング症候群にかかると、徐々に重篤な症状が表れやすくなります。そのため、獣医師と状況の把握や管理を密に行う必要があります。
検査や治療も飼い主の協力が不可欠です。この病気を理解しすぐに対応できるようにする必要があります。

まとめ

 

  • 水をたくさん飲む
  • おしっこの回数が増えた
  • 腹部膨満
  • 脱毛がひどい
  • 毛色が悪い

などの症状がみられたらすぐに病院へ連れて行きましょう。

お家では、食事とお水に気をつけることです。
飼い主さんが手作りしてご飯を与えることはあまりオススメしません。栄養が偏ったり、過剰摂取、犬にとって毒となる食材を入れてしまう可能性があるからです。
どういったフードやサプリメントを与えていいのかは獣医師に相談してみましょう。

クッシング症候群は、糖尿病や皮膚炎など合併症も起こしやすい病気なんだ!予防法がないから、早期発見・早期治療・その後のケアがとっても大切だよ。

この記事を書いた人

OSUWARI編集部