犬の膀胱炎とはどんな病気?
膀胱炎とは、細菌感染などによって膀胱が炎症を起こし、おしっこに血が混じるのが特徴の病気です。
メスがダントツに多く、年齢関係なく発症する可能性のある病気です。
そもそも膀胱の働きは、尿を溜めておき排泄することです。
風船に水を入れると徐々に膨らむように、膀胱も腎臓から送られてくる尿を溜め、徐々に膨らんでいきます。排泄するとともにその大きさは縮小します。 膀胱内に尿が一定量たまると、尿意を感じるようになるのです。
そうして尿を排せつすることで、細菌の侵入を防いでいますが、長時間おしっこをしなかったり、尿道の短いメスは、菌感染などで膀胱炎を発症します。
そのまま放置しておくと、腎不全や尿毒症となり最悪死に至るケースもあります。そのため、膀胱炎の症状が観られたらすぐに病院で治療してもらう必要があります。
腎不全に関しては「犬の腎不全|最悪亡くなってしまうことも…腎不全の症状と治療法」を参照してください。
もしかして病気?膀胱炎の症状
初期症状:血尿、尿の臭いが強くなる、色が濃くなる
適尿の色が濁る、ピンク色の血尿が出ます。トイレの回数が多いのに尿が少ない、いつもより少量しかでないなどの症状が見られます。 また、食欲が落ちることもあります。他にも以下のような症状がみられます。
- 血尿
- 濁った尿
- 尿がいつもより濃い黄色
- 尿のニオイが強い・いつのと違うニオイがする
- 陰部を気にしている
- 食欲不振
- トレイの回数が増える
- トレイに頻繁に行くのにおしっこがあまり出ない
- おしっこをする時に痛がる
- 元気がない
- 水をたくさん飲む
外で排せつする習慣のあるワンちゃんは、血尿の気づきにくい傾向になるので、毎日のお散歩でのおしっこのチェックは欠かさないでください。
発熱が伴う場合は、細菌が腎臓まで達している可能性も
膀胱炎をそのままにしていたり、発見が遅れると、細菌が腎臓まで上がって起こす「腎孟腎炎」が疑われます。
治療法としては膀胱炎を同じ方法で完治することができます。しかし、中には完治することができず、慢性腎不全になってしまうわんちゃんもいるので注意が必要です。
どうしてこうなるの?膀胱炎になる原因
膀胱炎は、いくつか原因がありますが、細菌感染によって炎症を起こすパターンがほとんどです。
その細菌に感染する原因は以下のことがあげられます。
尿道が短いメスは膀胱炎になりやすい
膀胱炎は、主に尿道から入った細菌が尿管を伝って逆行し、膀胱に達し炎症を起こします。 そのため、オスよりも尿道が短いメスは膀胱炎になりやすいので注意しましょう。
犬で最も多いのは、大腸菌、ブドウ球菌といった細菌による感染の他にも、寄生虫、腫瘍の薬剤なども関与しているケースもあります。
尿の回数が少ない
お水をあまり飲まないワンちゃんはおしっこの回数が少なくなってしまうため、発症しやすくなってしまいます。
外飼いのわんちゃんなどお散歩中におしっこをするご家庭の場合、天気によってはお散歩に行けずにおしっこを我慢させてしまっていることがあります。そのため、室内でもおしっこができるようにしたり、こまめにトイレに行けるように工夫することが大切です。
尿結石による合併症
尿結石(尿路結石)とは、尿路中に石が詰まる疾患のことです。
尿路が詰まったことで、尿が排出できず膀胱で炎症を起こし膀胱炎も発症するケースもあります。
尿路結石については「犬の尿結石|犬のおしっこが出ない?尿路結石(尿石症)の原因と治療」を参照してください。
この病気は治るの?膀胱炎の治療法
検査・診断方法
尿検査を行って原因を特定します。
尿検査では、「見た目」「尿比重」「pH」「タンパク」を調べます。
見た目では、採取した尿の色、泡がないか、濁っていないかを観ます。膀胱炎の場合は、尿が濃い黄色になっていたり、濁っている、血が混じっているなどで判断します。
尿比重では、尿の濃さを調べます。腎臓が大きなダメージを受けていると、尿を濃縮することができず、尿はとても薄くなり比重は軽くなります。このように、濃縮率を調べることで、膀胱炎の症状が悪化して腎臓に影響を及ぼしていないかなどがわかります。
pHでは、尿がアルカリ性か中性か酸性化を調べます。アルカリ性の場合、細菌感染が疑われます。
膀胱炎のどの腎疾患になると尿にタンパクが混じってきます。この尿タンパクを調べて病気を判定します。
治療方法
膀胱炎の治療は、人間と同じように抗生物質の内服を行います。
ただし、中途半端な治療を行うと、膀胱内の細菌をしっかり減らすことができず、再発の可能性を高めます。そのため、抗生物質を服薬後すぐにいつもの尿に戻っても勝手に治療をやめないで下さい。
獣医師の指示通りにいって期間は服薬を続けるのが完治させるポイントです。
治療費用・料金
膀胱炎の検査の料金は2,000円前後です。
症状が軽度であれば、抗生物質の約1週間から2週間の投与で6,000円前後になります。
ただし、腎不全や尿路結石など合併症が見つかった場合は、その他の処方箋や治療費で何十万になる可能性もあります。
また、尿毒症になってしまい元気がない、ぐったりしている場合は、入院も考えられるので20万~30万かかる場合があります。
飼い主ができることは?愛犬が膀胱炎になってしまったら
きちんと完治したか確認をする
抗生物質の投与が終わったら、もう一度病院で検査をしてもらい完治をしたかどうか調べてもらいましょう。
膀胱炎は、一度クセがついてしまうと何度も再発を繰り返す病気です。薬を全部あげたからと安心するのではなく、最後に完治しかた確認しましょう。
尿路疾患のフードに変える
膀胱炎や尿路疾患のわんちゃんのためのフードも販売されています。療法食となるため、一般のフードより高価になりますが、再発の予防になります。
一度、今与えているドッグフードでもいいのか、どんなフードに変えたらいいのか獣医師に相談してみましょう。
キレイなお水をこまめに与える
膀胱炎になるのは、尿の排せつが少ないの事が原因の場合もあります。
そのため、お水をこまめに与え、尿の回数を増やすことで再発防止になります。
あまりお水を飲まないわんちゃんは、フードにお水を加えてあげて水分を取るようにさせましょう。
膀胱炎になったら、早期治療、完治させることが重要です。
膀胱炎は放置すると、腎不全や尿毒症など最悪死に至る病気になる疾患です。血尿や臭い、色などおしっこがいつもと違うと感じたらすぐに病院へいきましょう。
また、女性の方なら良く知っている思いますが、膀胱炎はくせが付いてしまうと何度も再発します。完治さえることが大切です。