遠吠えする原因
まずは何故、愛犬が遠吠えするのか原因から解説します。
仲間につられてする遠吠え
犬の遠吠えの原因として一番多いのは、近所の犬につられて吠えることです。
犬は群れで生活していた昔の名残から、なにか危険を感じると仲間に吠えて知らせるという本能を持っています。
また、夕方のサイレンや放送に吠えるのもその本能によるものです。
これは放送の音を、他の犬の遠吠えと同様にとらえているからです。
不安により遠吠えすることも
遠吠えの他の原因としては、不安による遠吠えです。
一人でいることを極端に嫌がる犬に見られる行動で、トイプーやチワワなど愛玩犬に多くみられます。
一人のお留守番がさびしい、飼い主のことが好き過ぎる、などの理由により、場合によっては分離不安を起こすケースもあります。
何時間もそわそわ落ち着かず、ずっと飼い主を呼ぶように遠吠えしていたりしませんか?
そういった場合は、分離不安を起こしている可能性があるので動物病院に相談しましょう。
老犬は認知症により遠吠えをすることも
老犬になると認知症により意味なく遠吠えをする犬もいます。
また、高齢犬は聴力が衰えますので、空耳で他の犬が吠えているように聞こえ、吠える場合も。
さらに、玄関チャイムの音やテレビの音に反応して遠吠えするときもあります。
吠える声やサイレンに遠吠えする場合のしつけ方
他の犬が吠える声や、サイレンなどの外的音に対して遠吠えする場合、吠える行為そのものを完全に止めることは難しいかもしれません。
犬の本能による行為ですので、自制が難しいからです。
しかし、1度吠えた後を抑制することは可能です。
例えば、何か犬の意識をひきつける行為や音などにより止めることができます。
具体的に2つの方法を紹介します。
おもちゃで気をそらさせる
おもちゃが大好きな犬であれば、おもちゃで遠吠えを止めさせられます。
吠え止んだその瞬間を見計らい、名前を読んで振り返らせ、吠えるときに向かっていた方向とは別の方向におもちゃを投げます。
そのまま少し遊んであげて、遠吠えしようとする意識を、おもちゃへとすり変えるようにしましょう。
これを繰り返すことで、犬は「遠吠えをやめると遊んでもらえる=いいことがある」と学習し遠吠えをしなくなります。
天罰方式で遠吠えを止めさせる
次は逆に「遠吠えを続けると嫌なことが起こる」と学習させる天罰方式です。
例えば、ペットボトルに小石を入れ犬の背後で見られないように投げて、大きな音を出しびっくりさせます。
それで遠吠えを止めたらたくさん褒めてあげましょう。
これを続けることで、犬は「遠吠えを続けると嫌なことがある」「やめると褒めてもらえる」ということを学習して遠吠えしなくなるわけです。
さびしくて遠吠えする場合のしつけ方
飼い主と日中長く生活している犬の場合、お留守番が苦手で、飼い主を呼び戻そうと遠吠えするケースがあります。
普段、一人になることが少ないため、たまのお留守番に犬は不安になってしまうのです。
この場合は、「出かける習慣」を意図的に作ることで慣らすことができます。
ちょっとそこまでのお買い物や、庭での作業の時にも犬をケージに入れ、短時間のお留守番で練習をしましょう。
短時間のお留守番に慣れさせることで、犬は「飼い主はすぐに帰ってくる」という学習をします。
こうすることで、少し長いお留守番でも、遠吠えすることなく飼い主を待てるようになるわけです。
夜中に遠吠えする場合のしつけ方
終身時に遠吠えする、室内の電気を全て消すと遠吠えする、といったケースでは夜に常夜灯をつけておくのも方法のひとつです。
最近はLEDの電気代が安い常夜灯もあるので、わんちゃんの寝床付近だけ点けておいてあげたらよいでしょう。
また、合わせて「吠える声やサイレンに遠吠えする場合のしつけ方」で紹介した天罰方式のしつけを試してみてください。
急に遠吠えするようになった場合
今までサイレンや他の犬の遠吠えを聞いてもしなかったのに、急に遠吠えをするようになって困っているという方もいるでしょう。
うるさいですし、近所迷惑ですし、急に遠吠えするようになると、ちょっと不気味に感じるところもありますよね?
なぜ急に遠吠えするようになったのか理由が知りたいことでしょう。
こういった場合、「環境の変化」が遠吠えの謎を解く鍵です。
生活環境の変化が影響
自分たちの引っ越しや、近所に引越してきたご家族、新しくできた建物など、いままでと環境が変わることが遠吠えに影響している場合があります。
こういった場合、人間には聞こえない周波数の音が、新しく聞こえるようになったのかもしれません。
そういった音に反応し、遠吠えしている場合は「吠える声やサイレンに遠吠えする場合のしつけ方」でご紹介した方法でしつけてあげると良いでしょう。
家族関係の変化が影響
入学や転勤、病気などさまざまな事情で、家族関係の変化が起こり、犬に影響を与えて遠吠えする場合があります。
例えば、子供が進学で県外に。お父さんが単身赴任した。お祖母ちゃんが病気で入院した。などなど。
犬にとって親しかった家族と急に会えなくなると、寂しさのあまり会いたい気持ちが募って遠吠えをするようになるわけです。
こういった場合、犬が寂しくならないよう、残った家族が散歩や遊ぶ回数増やし、愛情を注いでいくことで徐々に遠吠えしなくなるでしょう。
余談
余談ですが、「アニマルコミュニケーター」という言葉をご存知でしょうか?
動物と話ができる能力者のことです。
「天才!志村動物園」という番組に出てくる「ハイジ」という女性でピンとくる方もいるでしょう。
アメリカの話ですが、急に二階に遠吠えをするようになった犬に、アニマルコミュニケーターが理由を聞いたことがあったそうです。
犬は「ママが二階にいてボクを避けているから呼んでいる」と答えました。
ママとは、この犬を一番可愛がっていたお婆ちゃんで2週間前に亡くなったんだそうです。
こう聞くと、お婆ちゃんのお化けがいるのか?と勘違いしそうですが、そうではありません。
二階がお婆ちゃんの部屋で、荷物などがそのまま残っていたことから、犬はそう思い込んでいたんだとか。
家族がお婆ちゃんの荷物を処分し、よく遊んであげるようになると、いなくなったことを理解して遠吠えはしなくなったそうです。
病気が影響
上記2つに当てはまる環境の変化がないのに遠吠えする場合は、なんらかの病気が影響している可能性もあります。
病気による体調の変化です。
「遠吠えの原因」の項目でも書きましたが、老犬の場合は認知症が考えられますし、若い犬でも耳や脳の病気の可能性もあります。
遠吠えの様子をスマホの動画で撮影し、動物病院で獣医さんに動画を見せて相談しましょう。
どんな病気でもそうですが、動画を見せることは病気の特定に役立つ方法ですよ。
やってはいけない遠吠えのしつけ方
遠吠えを止めさせるにあたって、やってはいけないしつけが『叱る』ということです。
とくに、叩いたり、怒鳴ってはいけません。
飼い主が近くにいるときは遠吠えをしなくなるかもしれませんが、外出中や飼い主がいない所で遠吠えをするからです。
これでは、根本的な解決になりません。
叱るのではなく、遠吠えすると嫌なことが起こると思わせるのです。
(さらに、飼い主の関与がバレ内容にしてください。)
それが、上記でも書いている天罰方式です。
飼い主に強制されたわけでなく、自分で嫌なことが起こる(天罰)と思いこんでいるので、飼い主がいなくても遠吠えしなくなるわけです。
犬が飼い主を怖がったり、嫌いになったりしない素晴らしい方法ですね。
まとめ
犬の遠吠えは、本能からきているものです。
遠吠えがうるさいからと叱ったり、叩いたりしては遠吠えを止めないばかりか、ワンちゃんのストレスになってしまいます。
おもちゃなどで気を紛らわせるか、天罰方式で犬自身が遠吠えをするのを嫌がるようにしつけてあげましょう。
また、なかなかしつけがうまく行かない場合やきゅうに遠吠えをするようになった場合は、「分離不安」や他の病気の可能性もあるので、一度、動物病院に相談してみてください。